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マクロファージへのはたらきかけ

一般に、マクロファージはT 細胞の生産するサイトカインを受け取ることにより活性化すると言われます。ある種のサイトカインは単球の成熟を促進し、マクロファージを増殖させ貪食作用を活性化します。
前述の通り、一般的にマクロファージの活性化の分類には上記の2種類が存在することが知られています。
それは、よく免疫系の実験でも使われる、『LPS』と呼ばれる菌体成分などによる古典的なM1の活性化と、IL-4やIL-13 などサイトカインによるM2の選択的活性化です。
上記はM1/M2型の発現解析に於いても、対照としてLPSによる内臓脂肪系のマクロファージ刺激が行われており、LPSの刺激によりM2型マクロファージの激減が観測されています。
しかし、より最近の分類では古典的活性化マクロファージ、創傷治癒マクロファージ、制御性マクロファージの3つあるいはその中間的な活性化状態が存在するとも考えられており、LZの刺激によってこれらの異なるフェノタイプのマクロファージが発現するものと考えられます。
尚この他にも全身に分布するマクロファージには様々な機能があり、脳に存在するミクログリア細胞にも様々な働きがあり、皮膚に存在する組織球(ランゲルハンス細胞)や肝臓のクッパー細胞、肺胞に存在する塵埃細胞(肺胞大食細胞)もマクロファージの一種です。
LZとM1/M2型マクロファージの関係が明らかになれば、実際にお客様から報告を受けている臨床でのLZの効果について、その機序機構(なぜLZによって治癒するのかという理屈)としてこれらの細胞への働きかけも検証してみたいと考えています。

マクロファージとインスリン抵抗性

一般に、脂肪細胞に於ける脂肪の過剰蓄積はインスリン抵抗性を引き起こす事は分かっていますが、この場面では脂肪組織内でマクロファージが重要な働きをしていることが、前述のアディポネクチン産生を確認するための、私たちが行った数々の実験からも判明してきました。
ガン細胞などを処理してくれる貪食(どんしょく)細胞の代表選手であり、古典的な免疫細胞として捉えられがちなマクロファージですが、最近では肥満研究が進み、肥満した脂肪組織と非肥満脂肪組織内では組織中に存在するマクロファージの種類が異なっていることも、学会レベルでも多く発表されるようになってきました。
脂肪組織内のマクロファージにある2種類のフェノタイプは、炎症性サイトカインを産生する「M1 マクロファージ」と、抗炎症性サイトカインを産生する「M2 マクロファージ」に分けられています。
M1 マクロファージはインスリン抵抗性を助長させることが広く知られており、脂肪細胞の過剰蓄積によるインスリン抵抗性と密接な関係があるマクロファージです。
一方、M2 マクロファージの「非炎症性」は、M1 タイプと相反する働きで、現実的には「再生型」マクロファージであるとも言えます。
つまり肥満脂肪組織内では炎症性のマクロファージ(M1)が多くなり、非肥満脂肪組織内では非炎症性マクファージ(M2)が多くなる。つまり、特に肥満脂肪組織内の炎症性マクロファージ(M1)が生活習慣病発症に大きくかかわっていることが明らかになってきましたのです。


マクロファージ
M1炎症性マクロファージとM2非炎症性マクロファージ


私たちの体の中にはこのように、相反する働きをもつものが多数存在します。神経組織で言えば交換神経と副交感神経など、お互いに補完しあってバランスをとるようにできているのです。
上記のM1型とM2型に対応するように、脂肪細胞に存在するマクロファージには接着型(ADM)と遊離型(FLM)の2種類のタイプがあり、LZの作用により浮遊型のマクロファージが増える事までは私たちの実験で確認しております。
2007年栄養食糧学会において、株式会社プライマリーセルとの共同研究の成果として、ラット初代内臓脂肪細胞(VAC)からのアディポネクチン産生を促進することを発表しましたが、この時同時にVAC にLZを添加した際、『浮いたマクロファージ』が多く出現することも発表しています。
しかし、脂肪細胞内で『浮いたマクロファージ』が、M2型であるとは限りません。
そこでこれらの流れを受けて、これらの点を無添加のVAC培養系を使った実験で確認したうえ2008年11月、神戸市で開催された生化学会において、株式会社プライマリーセルとの共同研究の結果として、2つのフェノタイプに関する研究発表を行いました。
発表の大まかな内容は

●過剰蓄積した脂肪細胞内では、M1型マクロファージがリッチ(優勢)になっている。
●逆に肥満していない状態では、M2型マクロファージがリッチになっている。
●接着型のマクロファージ(ADM)はM1リッチになっている。
●浮いているマクロファージ(FLM)はM2 リッチになっている。

つまり、『浮いてくるマクロファージはM2 型が多いという事が分かった』という内容です。

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