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不純物を考える

腸内バランスを調えましょうとか、腸内環境を善玉菌優性にしましょう、という言い方をよく聞きます。

腸内細菌を善玉菌と悪玉菌の2つに大きく分けて、そのバランスを論じたものですが、日和見(ひよりみ)菌と呼ばれる、善玉菌にも悪玉菌にも転がる可能性がある菌の存在は別として、どのくらいのバランス比ならば良いのでしょうか。

腸内菌にはその人固有のバランスが存在するはずであり、この問いに明確な答えはないのかもしれません。
逆に、善玉菌が多ければ多いほど良いという理論も、いささか乱暴に聞こえます。

そもそも悪玉菌と呼ばれている種類の腸内細菌は、ヒトには不要なものなのでしょうか。筆者は、そもそも腸内細菌を善悪の名称で分けるのは間違いと考えています。悪玉菌と呼ばれる菌も、ある場面では善玉菌に必要な働きをする場合があり、このとき悪玉菌は善玉役として働きます。
もちろん、腸内環境が悪玉菌優性に傾くことをお勧めはしませんが、現代の細菌学では、まだそこまで菌の働きが解明されていないのも事実です。

以下、筆者の考え方の元になるいくつかの例をご紹介します。
キーワードは『不純物』です。

不純物の功罪-1

絵を描く方には常識かもしれませんが、絵の具の中で最も白い色は白です。
しかしキャンバスに描いた絵で白を引き立たせようとする場合は、白の絵の具にほんのわずか黒を混ぜると、より白が引き立って見えます。
東京では有名な名所の一つに東京スカイツリーがあります。あのスカイツリーの鉄骨に塗られている白い塗料も、実はほんの少しだけ青を混ぜてあるそうです。

不純物を混ぜることで白を引き立たせる、芸術家なら誰でも知っていることのようです。

不純物の功罪-2

オナラの臭いの主成分の一つに、「スカトール」という成分があります。
他にインドールなども臭いオナラの原因成分ですが、いずれも悪玉菌と呼ばれる腸内細菌が作り出す成分です。これを香水の中にほんのわずか「かくし味」(?)的に混ぜると、香水の香りをより良く引き出す効果が生まれるため、多くの香水に利用されています。

不純物の功罪-3

今はほとんど死語となってしまったようなトランジスタラジオ。トランジスターは電気信号を大きくしたり小さくしたりできる半導体という物質の一つです。
このトランジシターはガラスの原料となる砒素(シリコン)という純粋な原子に、別の砒素原子や硼素原子などの不純物を微量混ぜることによって作られます。

ガラスやシリコンゴムなど、安定した物質に微量の不純物が加わる事で、大電力が必要な真空管に代わる、夢のような半導体が誕生し、その陰には不純物の存在が不可欠なのです。

不純物の功罪-4

2009年と、だいぶ前の話になりますが政権交代によりそれまでの与党と野党が逆転しました。今後も仮に、民主党なり自民党なりが全ての議席を占めるようになった場合、より強力な政策が進められることは間違いありません。
では、野党が1人もいないそのような政府が、果たして日本国民にとって必要な政府でしょうか。国会議員を不純物に例えたら叱られるかもしれませんが、オール与党の政治は『動かない水は腐る』の例えをひくまでもなく、国民が望まない方向へまっしぐら・・・と思うのは私だけでしょうか。

不純物の功罪-5

少子化により、小学校などの1クラスの生徒数は40 人以下になっている学校も多いようです。
仮の話ですが、40 人の生徒全員が優等生で、一人の落ちこぼれもなく成績優秀な生徒ばかり、つまりほとんど競争の生じないクラスだったとしたら、将来立派な大人になるために、意欲的に勉強をする子供に育つでしょうか。

育つかもしれませんが、適度に学力や体力に差があって、勉強の出来る子は運動が苦手だったり、その逆があったり。いつも悪さをする子供がいるから、叱られないように気をつけて生活したり・・・。

上記の例はいずれも、ピュア(純水)なものばかりの世界よりも、わずかの不純物的なものが存在する世界の方が、全体として見た場合にポテンシャル、あるいは価値や機能が高くなるという例です。
腸内細菌の場合も同様で、腸内に善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌などの細菌が全てを占めるような状況よりも、適度に悪玉菌と呼ばれる細菌が存在する中で、善玉菌が生きていかなければならない環境の方が、より良い機能性を(善玉菌が)発揮するのではないか、と考えます。

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