腸内宇宙の話
私たちが受精卵からヒトへと成長する過程で、脳や心臓よりも先に皮膚や腸が出来上がる事が、発生学上の研究で明らかになりました。
栄養を吸収する機能と、外敵から身を守る免疫系の機能から出来上がっていくのは理にかなっています。
免疫機能は、口から入ってきた有害な物質は腸から排泄し、あるいは皮膚というバリヤーによって体内に入り込もうとする細菌や毒物から身を守る、生体防御機能とも言えます。
私たちを守る砦である腸と皮膚はよく、口とお尻の穴でつながった1本の管(くだ)にも例えられ、互いに影響し合っています。
便秘などで腸内環境が悪い時には、肌にブツブツができて目に見える形で腸の異常を訴えかけ、実は免疫機能が低下していることをも示唆しているのです。
免疫の中心である腸内のひだ(微絨毛〜びじゅうもう)を平面的に延ばすと、その面積は400㎡とも言われます。
一方、お肌の面積はわずか1.6㎡ほど。
テニスコート1面分もの面積で栄養を吸収し、免疫力を維持している腸と、畳1枚ほどの皮膚が口と肛門でつながっているわけですが、わずか畳1枚ほどの面積のお肌の、そのまた何十分の一しかない顔や手足を日々磨いたりこねくり回したり・・・。
女性の皆さんはそこに毎月、たくさんのお金をかけていることでしょう。
最近は内面美容という言葉もあるほどで、表面の美しさを求めるのであれば、できればテニスコートの老化の方にこそ、もう少し手間とお金をかけていただきたいものです。
逆の言い方をしますと、1/200 しかない(約1.6平方メートル)お肌にお金をかけてこねくり回すよりも、美容のためなら腸をメインテナンスする方が効率が良い、ということです。