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免疫の司令塔とは

   

下の図はK社のP乳酸菌の宣伝に使われている、解説の一部です。『免疫の司令塔』と呼ばれる樹状細胞を刺激することで、免疫細胞全体が活性化するとされる説明図です。K社社はこのP乳酸菌と命名した乳酸菌株が、樹状細胞を活性化することをエビデンスとして、特定機能性食品の認定を受けたため、盛んにP乳酸菌を宣伝しています。P乳酸菌入りの乳酸菌飲料のみならず、お茶やサラダにまでP乳酸菌入りというものがあるようです。

この話と、Lactzymeの言っている内容と、何が違うのですか?という話が、最近よくこの質問をお客様からいただきます。

さて、この図だけを見ますとP乳酸菌が免疫の司令塔を活性化して、様々な免疫細胞全体が活性化するのだ、だから免疫力を上げるためにはP乳酸菌をたくさん摂りましょう!ということでしょう。宣伝の意図はわかるのですが、現実とはちょっと違います。これは私たちの腸内で起こりうることではありますが、それほど重要な出来事ではありません。少し噛み砕いて説明します。

●まず、一般に免疫の司令塔と呼ばれるのは樹状(じゅじょう)細胞と呼ばれる細胞のことで、樹状細胞は抗原提示細胞とも言われ、体内に入ってきた異物と触れ合うことで、排除すべき物と判明すると情報をT細胞に伝えます。

 実は、樹状細胞は腸に限らず私たちの身体中に様々な樹状細胞が存在している、獲得免疫特有の細胞ですので本来は、『獲得免疫の司令塔』と呼ぶべきだと思います。体内に入ってきた有害物質のほとんどは、実は自然免疫系が働いて処理してくれていて、樹状細胞は自然免疫が戦っているおかげで、安全に敵の情報を獲得免疫系に流して、次回の戦いに備えることができているのです。いわば、議員の秘書のような存在です。日本では、議員が悪い事をすると秘書のせいにされますが、K社のCMは逆で、自然免疫が一生懸命働いて命を守っているのに、獲得免疫が一番偉いのだ、免疫の司令塔なんだと手柄の横取りをされているわけです。ですからやはり、『獲得免疫の司令塔』と呼ぶべきではないでしょうか。

 ところで、樹状細胞は血液中にはありませんので、血管にどんなワクチンを打ってもあまり効果はありません。こういった基本的な事は細菌学者か研究者しか知らないため、医師でも理由も知らずにワクチンを打っているのが現実です。試しに このサイトをのぞいて見てください。医師の知識レベルが分かります。『血液中にはワクチンの受け手である樹状細胞が存在しないからです』という、たった一つの事実をご存知ないのでしょう。

 なお、数多(あまた)ある樹状細胞を活性化するのは、P乳酸菌だけではありません。pDCという樹状細胞を活性化する乳酸菌が、K社の持っているある特定の乳酸菌株だった、というだけです。『タモリさんに一番似合うサングラスは、レイバンのサングラスだけ。だから皆んなでレイバンをかけましょう』と言っているようなものです。別にレイバンのグラスでなくてもいいし、タモリになりたくないし・・・これと同じです。脱線しました。

さらに言えば、乳酸菌生産物質は自然免疫系を刺激するのがメインの仕事ですので、外敵が侵入してもいないのに乳酸菌生産物質を摂っても、樹状細胞を活性化することはありません。ですので、乳酸菌生産物質を飲んでも獲得免疫系には何の変化も起こりません。樹状細胞が少し元気になる可能性はありますが、『獲得免疫の出番がなくなるのが、乳酸菌生産物質本来の働き』です。

●仮に、P乳酸菌なる菌株だけが身体中の樹状細胞の活性化ができるとしたら、P乳酸菌を腸内にもっていない人は、免疫細胞全体の活性化ができないことになり、免疫不全で死んでしまいますが、K社はこの矛盾に気が付いているのでしょうか?

●ちなみに、この図の矢印が示すように乳酸菌飲料としてのP乳酸菌が樹状細胞を活性化している部分ですが、この矢印がシグナル伝達経路です。矢印は全てシグナルです。

●宣伝の図をよく見ますと、さすがに『免疫の司令塔の一つ、pDCを直接活性化』と小さく書かれています。樹状細胞は他にも星の数ほどたくさんありますので、その一つを活性化するだけなのですが、宣伝ではすべての免疫の司令塔を活性化するイメージがもたれるように作られています。大企業なのに・・・。当社製品を販売される方は、こういうところをお客様にちゃんと説明できるようにしてください。このように乳酸菌飲料メーカーというのは、自分たちに都合の良いことだけしか解説しませんが、私たちは逆にこれらを正しく捉えて、免疫の司令塔ではなく『獲得免疫の司令塔』であることを、きちんと説明することでお客様の信頼を得てください。

●体内で実際に起こることをみ見ていきましょう。K社が言っている樹状細胞による免疫の活性化は獲得免疫系だけの話ですので、次回に備えるという獲得免疫系の働きより先に対処するのが自然免疫の働きです。もちろん、同じ病気に2回目は即座に勝つために、獲得免疫の働きは重要です。しかし、免疫力を高めようというなら、ウイルスや病原菌が体内に侵入した際に、一番先に駆けつけて解決してくれる自然免疫系を高める方が効率的です。強い敵がやってきて自然免疫が弱くて負けそうな場合、私たちは死んでしまうことになるので、獲得免疫が記憶する意味もなくなってしまいます。

 もっと言いますと、有害な異物を全て即座にすべて排除してくれる自然免疫系の力が常に強かったら、獲得免疫系の働きは不要と言っても過言ではありません。
当社製品を販売される方は、以下の図を目を瞑っても描けて、コロナウイルスと免疫の関係を説明できるようにしてください。


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